2018/06/24

研究室及び研究テーマについて【イギリス:KCL】

研究室の先生のご自宅で開催されたBBQに呼んで頂きました。
研究室の公用語は英語です。

が、殆どのメンバーがイタリア語ネイティブなので、こういったフランクな場所ではイタリア語もよく使われています。一応、日本語ネイティブ+英語もなんちゃってネイティブなのに加え、少々イタリア語とスペイン語もわかるので、何となくどういう内容かわかります。ただ、イタリア語のアウトプットは自転車関係の用語しか無理なので、無理です。

英語が一番。

研究内容の詳細はとりあえず研究室のウェブサイトを見て頂くことにして…

日本語でわかりやすく説明すると

「シリコン製ナノニードルという素材の開発、実用化を多角的に行っている研究室。」という説明が最も適していると思います。

僕がお世話になっているChiappini Lab(キアッピーニ ラボ)はKingsColledgeLondonのDental Institute(歯学部)におけるCraniofacial Development and Stem Cell Biology(顎顔面発生学と幹細胞生物学)分野に所属しています。ラボを率いているDr. Ciro Chiappini(ドクター チロ・キアッピーニ)はTexas大学でシリコン多孔性のナノニードルを開発してPhDを取得、その後インペリアル・カレッジ、キングス・カレッジ・ロンドンと移動されてきています。ニュートン国際フェローシップ、マリーキュリーフェローシップも所得されています。

実際のところ、物理学分野でPhDを所得されているので、基本的には歯科とはあまり関係の無い研究をされているそうなのですが、「応用めっちゃ効くよ!歯科にも応用するよ!」という熱気が凄いです。

この分野では世界の最先端というか、そのものを作った人で、恐ろしく広い範囲の研究を手がけていらっしゃる方です。また、シリコン製のナノニードルは制作する際にクリーンルームが必要となるそうで、ケンブリッジ大学で作っている為、色々な所を飛び回っている非常に忙しい方でもあります。


研究室のメンバーはそんなシリコン多孔性のナノニードルを1つのキーワードとして世界中から集まったメンバーで、非常に明るいイタリアンな空気が流れている素敵な研究室です。時間も予定もマジで適当で良くも悪くもイタリアンです。とてもイタリアン。

Dr. Ciroがボスで、3名のPostDoc(博士研究員)、3名のPhD student(博士課程の学生)が所属しています。日本の枠組みに入れて考えると講師/助教授/博士課程の学生というような感じになっています。実はProfessorは別に居たりします。

Professor Paul Sharpeは歯科再生医療の権威で、今度開催されるIADRでもKCLがAcademyで授業をするようです。めちゃくちゃ興味があったので、参加出来ませんか?と聞いたら無理でした'`,、('∀`) '`,、参加費10万円'`,、('∀`) '`,、



来年以降、チロのラボに行きたい後輩が絶対に居ると信じているので、2週間経って何となくわかった情報をまとめておくと…

Dr. Ciro Chiappini
・めっちゃ身長高い
・超ナイス
・シリコンでナノニードル作った人
・物理学者なのに生物学にも造詣が深い
・もうなんかとにかく超ナイス
・とても細かい気配りの出来る人
・イタリア人

<PostDoc>
Dr. Michael Vanden Oever
・生物学者
・超ナイス
・非常に珍しい遺伝性疾患に対するブレイクスルーを探してる
・ナノニードルの臨床応用例を研究
・とにかくナイス
・犬クソかわいい
・ミネソタ出身のアメリカ人

Dr. Martti Kaasalainen
・物理学者
・マジ紳士
・ナノニードルの製造プロセスの研究
・「歯科に応用するための研究なんだよ。」と公言
・ひたすら紳士
・Instagramがオシャレ
・フィンランド出身
・南部だからスキーは北部に移動してやるらしい

Dr. Valeria Caprettini
・プラズモンナノテクノロジーの人
・超フレンドリー
・プラズマを流してどうなるか的サムシング
・写真趣味
・新しいライカ製の顕微鏡のセッティングで大興奮
・1ヶ月前に来たばっかりでよくわからない(本人談)
・空気を作ってくれる
・イタリア人

<PhD student>
Ms. Mary Okesola
・生物系
・免疫系の研究
・肝臓の再生を研究
・上記の研究にナノニードルが使えないか。というアプローチ
・めっちゃナイス
・イギリス人

Ms. Sarah Aliko
・LiDoの人(ローテーションPhD student)
・理学系
・ニューロン系ネットワークの研究をしている
・多分ナノニードルを使って細胞に何かを導入する系の研究
・アルバニア出身
・高校までイタリアで過ごしたのでイタリア語ペラペラ
・空気作るどころか持ってく系女子

Mr. Davide Martella
・物理学系
・スペクトル分析
・ナノニードルの臨床応用
・イタリア人
・ナイスガイ
・スーパーナイスガイ


という感じで、バックグラウンドも研究内容もバラバラで色々なものが自己裁量で動いているけど、お互いの領域を飛び出て積極的に交流し、マルチに色々なことが出来るようになろうとしている研究室。という印象を受けました。

到着後すぐ、全員の研究内容を発表資料で見せて頂き、気になるポイントを突っ込んで聞く貴重な機会を頂きました。
僕はDr. Martti Kaasalainenの新しいナノニードルの設計のコンセプトとMr. Davide Martellaのスペクトル分析の分析手法に非常に興味を持ったのですが、3ヶ月という非常に短い研究期間+10月にポスター発表を控えているという状況から、着手したばかりのナノニードルの設計では無く、既にプロトコルがあるスペクトル分析のほうが良いよね。とチロからアドバイスを頂き、Mr. Davide Martellaの研究を手伝わせて頂くことになりました。

正直なところ、こんなに優秀な人達が居る所にバイト漬け、部活漬けの僕が来てしまってよかったのか。と思っていますが、来てしまった以上死に物狂いでついていくしかありません。
論文5本を読み、何とか統計解析ソフト"R"の使い方を思い出し、パッケージソフトのマニュアルを読み、ダビデから貰った解析用スクリプトを自分でわかるように並べなおして何とか分析データが取れることを確認した。という最初の1.3週間でした。(木/金+5日間)

分析したデータは"GraphPad prism"という統計解析ソフトを用いてグラフ描画をするということで、どんどん新しいソフトが自分のPCに追加されていきます。

ちなみに、GraphPad prismは有料ソフトなのですが、Officeライセンスと同様にKCLから無償提供されているので、申請すれば使えるようになるようです。
(国民の皆様のお金で勉強させて頂いている手前、あまり大声では言えないですが、医科歯科もこういったソフトウェアのボリュームライセンス契約をしてくださると生徒としてはとても助かるのになぁ…と思いました。)

また、LiDoというローテーションPhD制度というのは非常に興味深い制度だと感じました。アメリカでは一般的なようですが、イギリスでも最近導入されるようになった。とか。


そんなこんなで研究室生活はとても楽しいです。(藤原)